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復原の記録

沿革

明治9年に現在の山形県が成立した後、初代県令三島通庸の手によって明治10年に山形県庁舎が、また同16年に県会議事堂が旅篭町に建設されましたが、同44年5月の山形市北大火により両棟とも消失してしまいました。ただちに同地で両棟の復興が計画され、大正2年4月に着手、同5年6月に完成したものが現在の旧県庁舎及び県会議事堂です。

設計は、米沢市出身の中條精一郎を顧問として東京都出身の田原新之助が担当し、工事は山形県の直営で行われました。

旧県庁舎及び県会議事堂は、英国近世復興様式を基調とした建物で、渡り廊下で結ばれています。

旧県庁舎はレンガ造り3階建てで外廻りの壁面は石貼りで覆われています。昭和50年まで県庁舎として使用されていました。

また、旧県会議事堂はレンガ造り一部2階建てで、当初から公会堂としての性格も併せ持って計画されました。このため議場の議員席も固定席ではなく、講演会や演奏会等さまざまな催しに使われていました。しかし、手狭であったために昭和5年新議事堂が建設され、その後旧議事堂は改造され事務室として使用されていました。

昭和50年の県庁移転後は、両棟を文化財として保存することとなり、同59年12月には国の重要文化財に指定されました。

その後、同61年から文化庁の補助を受けながら修理工事を進め、平成7年9月に10年におよぶ工事が完成しました。

工事概要

工事は、建築当初の復原を目指し、あわせて必要な構造補強や活用のための新たな設備工事等を実施しました。事業は、設計監理を財団法人文化財建造物保存技術協会に委託し、山形県の事業として行いました。修理工事の概要は次のとおりです。

  1. 解体範囲を最小限にとどめ、極力在来の材料を使用しながら従来の工法で施行して創建当時の姿の復原を目指しました。
  2. 構造補強のため、旧県庁舎では、小屋裏の水平鉄骨トラスの架設や煉瓦壁頂部からの鉄筋の挿入などを行ったほか、旧議事堂では議場棟の両側に鉄骨造のバットレスを設けるなどの対策を講じました。施行にあたっては、できるだけ内装に影響を与えないように配慮しました。
  3. 活用のために、新たに冷暖房設備、エレベーター、身障者用の便所を設置しました。
  4. 「正庁」、「貴賓室」、「知事堂」、「内務部長室」等の天井を漆喰飾天井に復原したほか、カーテン、壁紙、シャンデリア、絨毯など、できる限り復原を目指しました。
  5. 床材では、日本では既に製造されていないリノリウムを使用して復原に努めました(議場など)。
  6. 屋根は当時と同じスレート葺きとし、時計塔の銅板葺きなどを再現しました。
  7. 議場では美しいヴォールト天井や正面出入り口上のバルコニーなどの意匠を復原しました。

施設の活用

重要文化財「山形県旧県庁舎及び県会議事堂」は、10年の歳月を経て蘇りました。県では、「山形県旧県庁舎及び県会議事堂」を貴重な文化遺産として保存するとともに、県民の郷土への理解を深め、また本県文化の振興を図るための施設「山形県郷土館」(愛称:文翔館)として活用することとしており、平成7年10月1日開館しました。

文翔館では、重要文化財としての保存公開を実施するほか、郷土についての常設展示コーナーを設けるなど新たな機能を備えて、多目的な文化施設を目指しています。

また、ギャラリー、会議室、ホールとして利用できる一般利用スペースも設け、県民の文化活動のステージを提供しています。

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