仙人講座/第19期 (平成21年度)
■第1回講座 平成21年6月17日 遊学館
基調講演
「歴史上の人物に学ぶ経営者像」
元NHKキャスター 松平 定知氏
「歴史上の人物に学ぶ経営者像」と題し基調講演を行った松平定知氏は、NHKキャスターとしてニュースやNHKスペシャル、世紀越え特番など、多数の番組を担当してこられました。
特に「その時歴史が動いた」は9年間放送される長寿番組となりましたが、専門家受けするものでもなく、歴史に関係のない有名な方をお迎えするのでもなく、地味ですがその道の第一人者のゲストにこだわり、1人1人を大切にする番組つくりに徹してこられたそうです。
NHK「天地人」で好評を得ている直江兼続は、「上杉景勝に一生仕えた一途な男」で、兼続の『直言力』が現代の経営者に望まれています。「御館の乱」の直前に景勝に本丸の金庫と武器庫を獲るように進言したこと、武田勝頼を領地と金で味方にするため説得したこと、120万石から30万石に減封され1人のリストラも出さなかったことなどが経営者の参考になります。
もう1人、兼続とは逆に、武士は二君にまみえずという武士道の世に10人の主君に仕え、最終的に伊勢津藩主となり給料が4000倍になった男、藤堂高虎がいます。高虎は他人が真似のできない自分だけの能力・技術を備え、理解しない主君には仕えず、個人的にそしりを受けても未来のために悪評に耐え、子孫に繋げることを考えました。
歴史を学ぶということは、過去を知ることが必要ですが、過去を知るために歴史を学ぶのではなく、未来を知るために歴史を学ぶのです。
松平氏は最後に「現代は経済が疲弊しています。80年前の1929年に大恐慌が起こり、日本は中国へ侵略、結果的に太平洋戦争まで突入したという過去の歴史は生かされるのでしょうか。」と会場に問い、講演を締めくくられました。
実践講座
「東北の関ヶ原~直江兼続と最上義光の戦い~」
上山市立図書館館長 片桐 繁雄さん
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「東北の関ヶ原~直江兼続と最上義光の戦い~」と題し実践講座を行った片桐繁雄氏は、長年、最上義光を研究され著書も多数出版していらっしゃいます。
冒頭、400年前の最上義光はズーズー弁で関西京都周辺の公家や他地域の武士と話す時には、実は3名の通訳がいたこと。一方、直江兼続は、言葉には鈍感でイケメンであったことがわかっているが、実際の戦いで愛の兜は使われた記述がなく、「うわさ」か「つくり話」であろうということなどを解説。歴史ドラマは、「史実」と「つくり話」、その中間の「うわさ」で構成されており、「天地人」でも作家さんの判断で愛と義を体現した人間として、ドラマの直江兼続が創られているとか。
天下分け目の関ヶ原合戦の東北版といわれる東北の関ヶ原、「慶長出羽合戦」または「長谷堂合戦」と呼ばれているのが、豊臣側上杉と徳川側最上の1600年9月の戦い。上杉では最上領内を通って自領庄内へ行く道が欲しいなどの理由で、最上では娘の駒姫が豊臣秀吉に惨殺されたなどの理由で戦いを開始。上杉の直江軍は8つの経路から総勢4万人(90%は農民)が、最上に打って出ました。途中、最上側の畑谷城は落城させられほぼ全員が討死。最後の砦、長谷堂城も攻撃されましたが自然の堅固な要塞のため攻めきれず、関ヶ原の戦いが徳川側の勝利となると、伊達軍からの最上への援軍もあり、上杉の直江軍が撤退。合戦の後、勝った徳川側の最上義光は大大名に、負けた上杉景勝は会津から米沢に減封に、失業者も多数出たことが、鶴岡酒井家の文献に残っています。失業する者が1人も出なかったということも「うわさ」であったようです。
直江兼続と最上義光にまつわる「史実」「うわさ」「つくり話」を、ズーズー弁で楽しく解説され、最後に「ドラマを多くの方に見ていただき、視聴率を高め、盛り上げて、山形にいっぱいのお客様が来るようにしましょう。」と会場に呼びかけ、講演を締めくくられました。
■第2回講座 平成21年7月9日(木) 遊学館
基調講演
「噺家人生、裏も表も喋っちゃいます」
真打ち落語家 柳亭 楽輔氏
「噺家人生、裏も表も喋っちゃいます」と題し基調講演を行った柳亭楽輔氏は、真打落語家として古典落語や漫談、司会、講演などでご活躍中です。
冒頭の「この遊学館で喋ることを夢見てきて、今日夢が叶ったことになりますな」から、笑いの絶えない講演がスタート。
落語には東京の江戸落語と関西の上方落語があり、江戸落語は江戸ことばやなまりが登場します。落語家になるには学校がないので、弟子入りしかありません。師匠は柳亭痴楽(りゅうてい ちらく)で、修行時代の最初は掃除・洗濯・料理といった身の回りの世話をします。落語家は前座から始まり、二つ目を経て、真打ちという一人前のプロになります。前座の時代は当然修行の時ですから、身の回りの世話はもちろん寄席でのお茶出し、火鉢の炭熾しなどをするのですが、最初にお客様の前で話せるという楽しみもあります。落語は着物を持って扇子と手拭いがあればどこへでも行ってやらせていただきます。
師匠の痴楽は、大阪道とん堀の角座にての三人襲名披露時3日目に倒れて、晩年は浅草の特別老人ホームに世話になります。かかりつけのお医者さんが弟子になったことで、このホームで再び落語をやるきっかけとなり、平成15年10月31日新宿の末広亭でつづり方教室をメインに師匠痴楽の最後の落語会をさせていただきました。そして12月1日に逝去。昭和の爆笑王は林家三平師匠と言われていますが、個人的に爆笑王は柳亭痴楽と思っています。師匠の痴楽の思い出を胸に噺を続けて生きたいと思います。
最後に「虎さん、この食べ方を知ってるかい?」「ちょうど豆腐の腐ったような味」という落ちの古典落語『ちりとてちん』を披露していただき、落語口上はもちろんコミカルな表情と仕草で、客席を魅了した講演となりました。
実践講座
「役者道(やくしゃみち) 山形発信!」
俳優・ワークショップリーダー 今田 裕美子さん
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「役者道(やくしゃみち) 山形発信!」と題し実践講座を行った今田裕美子氏は俳優、ワークショップリーダーとして活躍していらっしゃいます。
講演の冒頭、山村の女医-志田周子さんをモデルにした一人芝居「真知子」を『語り劇』で披露していただきました。山村の診療所では手に負えない患者を夜雪中に離れた町病院へ村人達と一緒になって運搬するシーン、開業時のシーンなど芝居そのものです。
そんな今田氏が役者になったきっかけは、中学生時に見たテレビ「スター誕生」に憧れ応募したこと。中学・高校時代と挑戦をしたがダメだったので、歌手から役者を目指すことに方向転換。高校を卒業するまでたくさんのオーデションを受け、最初に選んだのは給料のでる栃木県の劇団。その後、東京でバイトと小劇場の芝居とを繰り返したり、著名な役者さんの付き人もさせてもらったり、いろいろな勉強をされました。平成10年に30半ばで大好きな山形に戻りましたが、友達には都落ちと言われたそうです。
現況の山形にはアマチュア劇団や、プロの司会、アナウンサーもたくさんいるけれど職業としての役者という選択肢はないと感じる中で、地元山形でプロの役者でいたい。辛い事もあるけれど、好きなことをやって認められることは嬉しい。地元が好きだからここを拠点として芝居を全国へ発信したい。いろいろな事をやっていると言われるけれど、全ては役者が入口、1つ1つ丁寧にやっていこうと思っています。
最後に、「まだまだ学ぶことばかり、どうぞいろいろ教えてください」と会場の先輩方に呼びかけ講座を締めくくられました。
■第3回講座 平成21年8月5日(水) 遊学館
基調講演
「フランス料理の楽しみ方~テーブルマナーとワイン講座~」
(社)日本ソムリエ協会認定シニアソムリエ 鈴木 邦士氏
「フランス料理の楽しみ方~テーブルマナーとワイン講座~」と題し基調講演を行った鈴木邦士氏は、日本ソムリエ協会認定のシニアソムリエなど多数の資格をお持ちで、現在、ホテルコンコルド浜松でエグゼクティブソムリエ、フランス料理エトワールシェフソムリエとして活躍していらっしゃいます。
フランス料理と日本のお茶は非常に似ています。ワインの楽しみ方は食事の楽しみ方であるし、最低限の知識があればもっと楽しめ、テーブルマナーがあればさらに楽しむことができます。
事前準備として、食事の目的などをレストランに連絡すると、店の人も楽しみ方をアドバイスできます。服装は、男性は上着とネクタイ、女性はワンピースでも大丈夫、そして女性のエスコートも堂々と恥ずかしがらずにするのがコツです。
フランス料理のテーブルマナーでは、食前酒は食欲が出るように軽く酸のあるものにし、スープは音を立てずに飲みます。ナイフとフォーク、スプーンの使い方、並べ方はフランス式とイギリス式で違いますが、本来は必要なものだけ運ばれることになっています。沢山並べてある時にはどれから使っても良いです。ナプキンは手前がループになるようにおき、口を拭くときにはナプキン裏側の端を使います。会話をしながら楽しく食べることがマナーです。
ワインは奥深く覚えることも多すぎて一朝一夕には説明できませんが、少しでも深く学びたい方はワインの本をまず一冊読むことをお勧めします。ワインの名前は村(地方)の名前・生産者・ヴィンテージ(生産年代)によって区別され、瓶の形で肩がなで型はブルゴーニュ、肩が張っている型はボルドーです。テイスティングは形だけでいいので(1)斜めにして色を見て(2)香りを嗅いで(3)グラスを回して(4)口に入れて少し飲むようにしてください。ワインは温度が大切で、白ワインは朝に冷蔵庫へ移して夕方に飲む、赤ワインは夕飯をつくる前に冷蔵庫へ移して飲むのがちょうど良いでしょう。
レストランでの立ち居振る舞いから自宅での楽しみ方など、実演を踏まえて具体的にわかりやすくお話いただきました。
実践講座
「これだけは知っておきたいやまがた酒の話」
佐野屋店主 佐野 洋一氏
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「これだけは知っておきたいやまがた酒の話」と題し実践講座を行った佐野洋一氏は、山形県内で初の「利き酒師」上位資格の「日本酒学講師」を取得され、山形の地酒専門店佐野屋店主として販売だけでなく、日本酒に関する講演なども積極的に行い、地酒の宣伝・普及に努めていらっしゃいます。
地元山形の酒蔵は良い酒を造っています。庄内地方でも小さな酒蔵(家族的経営規模)が沢山あり真剣に酒造りに取り組んでいるのがわかります。しかし、それらの酒蔵で見たことがないラベルが少なからず存在し、地元で売れないから関東方面に出荷されるだけで地元では飲めない日本酒になっていました。そこで、1樽で1000本(升)造るのですが実際は1100本造るように仕込むので、100本が残る、その100本を佐野屋で売ってみたいと各酒蔵と交渉をして、県内では唯一ビールを売らず、日本酒だけを扱う『やまがたの地酒佐野屋』を鶴岡市にオープンさせることができました。
日本酒は全体でどれほど造られているかというと、1年間で400万石だそうです。10年前は700万石で半分程度になりましたが、その量は一升瓶換算で4億本です。日本人成人の男女全員が7ℓを消費する量です。焼酎は甲・乙類を総合して5.5億本ですので、それなりの販売業界を形成しています。日本酒の成分ですが、糖分はほとんどありません。甘いのはアミノ酸で、エンプティカロリー(0カロリー)といわれ、体内には停留しない消費カロリーになります。余分なものは体外へ出されますので、日本酒を飲むと太るという医学的根拠はないです。強いて言えば、食べ合わせですが、焼酎・ビール・ウィスキー・ブランデーなどは口内の油分を流してしまい高カロリーの油物を欲しくなる傾向にありますが、日本酒は口内の油分と共生するので淡白なつまみになる傾向があります。
地元山形と日本酒にかける熱のこもったお話に、日本酒好きでなくても地元のお酒をついつい手にとってみたくなるような講演でした。
■第4回講座 平成21年9月3日(木) 遊学館
基調講演
「世界の中の日本」
ジャーナリスト 櫻井 よし子さん
「世界の中の日本」と題し基調講演を行った櫻井よしこ氏は、ジャーナリストとして活躍していらっしゃいます。
衆院総選挙が終わりましたが、選挙は日本を良くしようというところから始まっています。こんなに良い日本・山形に実現できる政治家は誰ですか、誰に託すのですか、ということ。大人の責任として、今、考えなければいけません。
農村が寂れていますが、戦後の農政は農家のためになっていたのでしょうか。農業は田畑を耕し作物を作って立派に生活ができるような補助金であるべきです。日本に強い影響力を及ぼすアメリカと中国が歴史的な変革を図りつつありますが、いろんな国ときちんとした関係を構築していかないと日本が沈んでしまいます。民主主義のない・人権のない・法律を守らない・環境を大事にしない・約束を守らない国などとは距離を置くべきです。
日本国・日本人を守るためには私達がしっかりしなければなりません。自分だけ良ければいい、金があればいいという経済第一の価値観ではなく、先祖の力が有り今の自分が存在していること、育ててもらったのは親であり地域であり学校であるという社会の力があったこと、自分個人のことだけでなく「公」のことも考える心が、日本人に立ち戻る第一歩です。個人の利益のみを追求するのではなく、社会・国のために役立つという公の心を持つ日本人としてあたりまえの原点に戻り、外の脅威にきちんと対処するために、国民の成長や誇りや精神力も必要ですが、軍事力という法的物理的整備を図れるような賢い国民になることが大切です。いろいろの視点で国家戦略を考えるのが今なのです。
最後に「先祖や家族や子や孫のため素晴しい国にしていきましょう」と呼びかけ、講演を締めくくられましたが、その凛とした姿に会場中が魅了されました。
実践講座
「ひと味ちがう、県内おもしろ小旅行 しぇ~なぁ~やまがだ!!」
県やまがた観光まちづくり塾塾生・山新観光株式会社課長 斎藤 真美氏
「ひと味ちがう、県内おもしろ小旅行 しぇ~なぁ~やまがだ!!」と題し実践講座を行った斎藤真美氏は、山新観光株式会社での多忙な業務をこなしつつ、県内各地の隠れた魅力と人を結び地域の活性化につなげたいと、日々仲間達と語っていらっしゃるそうです。
冒頭「今日はようこそ『しぇ~なぁ~やまがだ』の旅にご参加いただき誠にありがとうございます…」と、スタート。齋藤さんは、4年前ドイツの景勝地ロマンチィック街道を案内中に、庄内の方に「きれいな景色だけどものぉ~おらだの村さもあんだよのぉ~」と教えられ、職業柄確認しようと思い『山形探訪』を始められたとか。訪れる山形の景色から、山形の魅力を教えてもらったそうです。6月の田んぼの稲の色が黄緑から緑の絨毯になり国道347沿いは、まるで「山形のロマンチィック街道」、最上川は「山形のライン川」、そして景色だけでなく『天地人』や『おくりびと』、『秘密の県民SHOW』ではMVPということで、山形ブームはやはり来ました。
旅や観光の目的も大きく変化していて、これまでの、団体・遠くへ・名所旧跡・名物料理・異なる景勝地の旅から、少人数・ゆっくり滞在型・地域との参加交流・土地の食物という日本の地域文化とそこに暮らす人々との交流を『したい旅』が目的になってきました。地域そのものや地域の人々の暮らしが旅のストーリーになってきたのです。『したい旅』は地域の活性化にもつながり、情報発信の起点になります。まさに山形には、旅の素材・目的がたくさんあります。『やまがたしぇ~どこツアー』をご自分で創ってみてはいかがでしょう。山形は日本人としての忘れ物を探し当てたような心休まる温かさがあります。雪国の人々の助け合い、「お互いさま」は、山形の魅力の再発見になるように思います。
最後に、「これで今日の旅を終わらせていただきます」と会場に呼びかけ、山形弁の楽しい講演を締めくくられました。
■第5回講座 平成21年10月8日(木) 遊学館
基調講演
「古いものが与えてくれるよろこび」
骨董・西洋アンティーク評論家 岩崎 紘昌氏
「古いものが与えてくれるよろこび」と題し基調講演を行った岩崎紘昌氏は、骨董・西洋アンティ-ク評論家として活躍していらっしゃいます。
冒頭、マッカーサーの生誕地、軍港町ノーフォークの土産屋で購入したという軍艦ミズーリで交わされた公文書原寸大コピーを掲げ、日本では公開されていないのに1ドルで手に入ったこと、この1枚で日本では農地解放が行われ、土地を失った人、逆に手に入れた人がいたことなど、いろんな意味でおもしろいこと。同時に人へプレゼントする「モノ」を考えるのは難しいと感じたことなどをお話されました。モノをみる価値には3つ視点があるとか。1つは「ファッション物」としての価値で、レコードのSP盤とか有名人の色紙などがあります。これらは時代が変わって必要な人に、わかっている人に貰ってもらうために骨董屋に売った方が良いモノです。2つは「美術物」としての価値が具わっているもので、人間として日本人として残さなければならない文化です。3つは「真贋物」で、真物はめったに出ませんが大切に残していかなければならないモノです。しかし贋物でもそのモノへの思いやモノを通しての家の歴史が物語っているはずですから家の宝として大切にして欲しいモノです。また、骨董品の価値には「思い出の値段」と「モノの値段」があり「流通の値段」とは異なります。当然ですが、流通の値段ではニーズがないものは安いです。また、作った人と持っている人の思いを抜きにして語れないモノですが、大切な思い出でも値段は付けられません。
最後に「元気があるうちに、自分が骨董の整理をしてください。良いものがあれば文化を繋げる意味で骨董屋に売ってください。お宝を、世代を超えて繋げることが、100年、200年を超えて残すことであり、人間の力で義務であり責務なのです。」と会場に呼びかけ、講演を締めくくられました。
実践講座
「弱小老朽貧乏水族館が世界一になった」
鶴岡市加茂水族館館長 村上 龍男氏
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「弱小老朽貧乏水族館が世界一になった」と題し実践講座を行った村上龍男氏は、鶴岡市立加茂水族館長となられて43年目、世界で一番長い館長歴をお持ちだとか。
加茂水族館は、クラゲの展示種類数世界一、そしてノーベル賞の下村脩教授の研究対象オワンクラゲが展示されている水族館として話題になりました。しかし、加茂水族館の歴史は苦しい連続で、昭和5年に市営として開館しましたが、途中民間に売却、再び市営として運営されています。民間経営時に館長となり、来場者数が減っていろんな努力をされたとか。水族館と猿の組合せ、アシカショー、ラッコでの客寄せ、結果的には効果なく来場客数は9万人まで落ち込み、幽霊水族館になりそうでした。この頃、サカサクラゲと出会いました。珊瑚の水槽から湧いたのです。お客さんが喜んでいるのを見て、クラゲで客を呼べると思いました。けれども、クラゲの平均寿命は4ヶ月、飼育と繁殖の試行錯誤を繰り返し、たった1つの成功をスマイルクラゲでやり遂げました。これをきっかけに東北の片田舎の弱小老朽貧乏水族館にも来場客が増えるようになりました。10の失敗をしても1つ成功すればそれで勝負ができるのです。徐々に展示数を増やし平成12年には、日本一になりましたが、まだまだ来場客の増加にはつながらず、「クラゲを食う会」を立ち上げて発想の転換を図ったとところ、TV等で取り上げていただき、広く世間から認められるようなり、来場客も戻ってきました。クラゲレストランも造り、メニューも豊富にしております。日本中の南~北まで友達つくりをし、繁殖と採取に努め、平成17年にとうとう世界一に、現在は35種類のクラゲを展示し世界一を保持し、今年度は来場者数22万人を突破予定で記録更新をするでしょう。弱小老朽貧乏水族館があの有名な旭山動物園を差し置いて、経営の立直しと食品と関連したクラゲの成果で古賀賞も受賞されました。
最後に、「水族館で子供たちはクラゲを観て感動し、騒いだり予想もつかない行動をすることがあります。しかし、子供の感動には先生や大人が少し我慢強くなって見守ることも大切です。」そう会場に呼びかけ講演を締めくくられました。
■第6回講座 平成21年11月18日(水) 遊学館
基調講演
「能に見る人間ドラマ」
河村能舞台 能楽おもしろ講座 主宰 河村 純子氏
「能に見る人間ドラマ」と題し基調講演を行った河村純子氏は、河村能舞台能楽おもしろ講座を主宰されるなど、能を見たことのない人や若い世代に向けて能楽の普及に努めていらっしゃいます。
お能の楽器は笛・小鼓・大鼓・太鼓の4つしかないのですが、特に笛を聴くとα波が出て癒され心地よく眠れるようです。また、このような高周波を含む音は成長ホルモンを促しアンチエイジングに効果があり、若返ることにもなるとのことです。
お能は「能楽」や「能が苦」(笑い)などとも言われとってもシンプルな1~2時間位のドラマです。お能では主人公を‘シテ’と呼び、副主人公は‘ワキ’と呼ばれ、この2人で演じるのがほとんどです。(途中『藤戸』の一場面を映像で見ながら)静と動の仕草を感じていただき、内容が解らなければ魂を遊ばせたと思えば良いです。600年前の時空を越えた母親の思いが同じ謡本(台本)を使って現代まで続いているのです。人の心や魂を伝えています。愛とか憎しみとかは現代でも昔でも変わらぬことでしょう。
お能は観阿弥がものまね芸を集大させて主に寺社・仏閣に取り入り、世阿弥によって武士・公家に取り入り確立させたものです。室町時代のある一定の時期には町民にも普及したのですが、江戸時代には武士・大名のものとなっていったのでしょう。能と狂言の違いは、狂言は笑いがほとんどでコメディの庶民の話、能は泣く・苦しい・辛い・嬉しいといった笑いがないシリアスドラマです。演者1人対お客様の感じ方はそれぞれ、能との出会いを未知との遭遇と考えて若返りし、五感を通して感性や人生を豊かにしていただいたら喜びです。
最後に「日本の能は600年続いた世界で最も古い演劇、いろんなきっかけになったら良いと思います」と講演を締めくくられました。
実践講座
「能を舞い謡う楽しみ」
金剛流師範・能楽師 榎本 健氏
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「能を舞い謡う楽しみ」と題し実践講座を行った榎本健氏は、サラリーマン時代の趣味が高じ金剛流師範・能楽師として、能楽の公演のほか、ワークショップを開催するなどご活躍なさっています。
職場の謡グループに入ったことから、2年後に仕舞も始め、全国各支部・営業所の発表会、懇親会などで友達が沢山増えたことは私の支えになりました。退職した現在も、犬の散歩の日課で謡を覚え、健康にも良く、ボケ防止にも役立ち、一挙四得です。
謡に山形に関係している所が謡にでてくると興味を持つようになりました。謡の背景としてイメージを膨らませることも楽しみなのですが、その方法の1つに謡蹟めぐりがあります。「義経」にまつわる能にも「最上川、上れば下る稲船の、否にはあらず、この月ばかり」という最上川を詠んだ和歌が取り入れてあります。万松寺にある「千歳山の阿古屋の松」も謡蹟です。平安時代の歌人藤原実方が詠んだ「木がくれて、昔も今も出でやらぬ、月やあこやの、松といふらん」の背景を実感として味わえます。謡曲十五徳なども人生の教訓として役に立ちますし、実感できます。能の楽しみ方は見て楽しむ方法とやって楽しむ方法がありますが、やる方が面白みが増し、囃子が入ればなお楽しく、能に近づくともっと楽しいと感じます。定年になり自分が好きなことができる環境が次第に整ってきた今が一番楽しいとか。
最後に、連吟「猩々」、仕舞「竹生島」、「羽衣」、「班女」、「黒塚」を実演していただき、静と動の幽玄の世界を感じました。
■第7回講座 平成21年12月11日(金) 遊学館
基調講演
「サザエさん一家幸福みつけの達人ぞろい」
声優 増岡 弘氏
「サザエさん一家は幸福みつけの達人ぞろい」と題し基調講演を行った増岡弘氏は、声優としてご活躍なさっているほか、劇団東京ルネッサンスの代表として若手の育成にも力をいれられています。
冒頭、「ただいまタラちゃん。いま帰ったよ。」等、TV番組『サザエさん』マスオさんの声を披露しての始まりです。TV番組『サザエさん』は三世代同居する日本の家庭の姿で、飲み頃の日本茶の味。暑くもなく、冷たくもなく、薄くもなく、濃くもない、毎日飲んでも飽きのこない家庭的な一服のお茶のようなものです。現代の私達はサザエさん一家を追い越してしまい、家庭の幸せの見つけ方まで追い越してしまったようです。
言葉には注意をしています。昔から使われている日本語を特に大切にしています。言葉は相手に対するプレゼントで、一度出したら元に戻らず、心から出すので人格の半分を占めています。お子さんを育てるには、《食料》《思い》《言葉》が必要と思いますが、お母さんが使う最も多い言葉には「早くしなさい!」があります。でも「母さんは早い方がいいんだけれど、何か手伝うことがある?」という子供を育てる言葉を使いたいですね。水にも温度があるように、実は言葉や人の心にも温度があります。言葉は選んだだけではダメで、使い方しゃべり方を大切にしなければなりません。時には凶器になったりします。言葉はどんなに親しい間柄でもしゃべっている20%しか相手に伝わりません。そして、傷ができると直せない。親しい分だけ愛していたから直せないのです。人生の基本は夫婦仲が良いことです。ご夫婦相互で体を洗い背中に「すき」と指でなぞってみて下さい、別れのチュッをしてみて下さい。お金は全くかからず、必要なのは勇気だけで、家族が健康になります。また、愛とは愛し続ける努力をすることです。心がけ1つで毎日を記念日として捨てる日など一日もなく、今ある小さな幸せを十分に身に感じていく日々が大切です。
講演の終わりに、ステージで2名の方に目に見えないバレーボールごっこ。「当たり前と思っている空気も心も目に見えないものですが、見えないものを大切に、心のキャッチボールを」と、会場に温かいメッセージをいただきました。