仙人講座/第1期 (平成3年度)
公開総合講座 【読む】
講演:日本旅行作家協会会長 斎藤茂太氏「仙人への道程」
講演:作家 平岩弓枝氏「生きるということ」
第1回講座 交遊仙人 【読む】
講演:落語家 桂南治師匠「権助魚」
講演:話し方アドバイザー 大村和夫氏「相手の心を察したほめ言葉が必要」
実践講座:山形グランドホテル 佐々木支配人・大浦チーフバーテンダー「リラックス仙人術」
第2回講座 一芸仙人 【読む】
講演:二科会会員 飛塚英寿氏「感動を人に伝える面白さ」
講演:ミュージック・エンターティナー 石川純子氏「ピアノの弾き語りとカラオケのヒケツ」
実践講座:ミノルタカメラ販売(株) 福井一成氏「最新鋭カメラの機能をやさしく説明」
第3回講座 自足仙人 【読む】
講演:東海大学教授 望月衛氏「生涯生活設計の必要」
講演:西サモア サラー・バイミリ厚生大西「サモアについて」
実践講座:日本生命 橋口公三氏「ゆとり」ある金銭感覚を
第4回講座 好奇仙人 【読む】
基調講演:俳優 渡辺文雄氏「旅の奥行きの深さと魅力」
実践講座:JR東日本 高野山形駅主席助役「何か目的をもった自発的旅行を」
第5回講座 発想仙人 【読む】
基調講演:芥川賞作家 畑山博氏「わたくし流−仙人術入門」
実践講座:富士通オフィス機器(株)斎藤恵子氏「ワープロを使ったクラス会の案内状作り」
第6回講座 健康仙人 【読む】
基調講演:中京大学教授 藤原健固氏「歩く健康法」
実践講座:酒田短期大学副学長 芦野茂喜教授「こたつ体操」
最終講座(第7回講座) 【読む】
基調講演:作家 藤原てい氏「生きる」ことの大切さ
実践講座:ファッションコーディネーター 西山栄子氏「おとなのおしゃれを楽しむ術」
7つの顔をもった仙人をめざして!
おもしろい・ためになる・ユニークをモットーに、当財団の老人大学校が、「公開総合講座」と7回シリーズの「仙人講座」で開校しました。
今年度の大学校のテーマは「仙人」。シニアの暮らし方の理想像を、東洋人の夢とロマンが生んだ「仙人」のイメージでとらえ、一歩でも近づくための発想ができれば…という考えからスタートしました。そして、「仙人」になるための条件として、7つの顔を想定、これを講座の中でマスターすれば、はれてあなたも「仙人」の仲間入りというわけです。
■仙人公開講座
◆平成3年6月22日(土) 遊学館ホール
◆講座:日本旅行作家協会会長 斎藤茂太氏「仙人への道程」
◆講座:作家 平岩弓枝氏「生きるということ」
6月22日、山形市の遊学館で老人大学校の開校式と「仙人」公開総合講座が開かれました。県内各地から350名が集まり、当財団の井上武常務理事の「仙人講座」についての説明のあと、日本旅行作家協会会長の斎藤茂太さんが「仙人への道程」として講演し、精神科医の立場からボケの二大原因は脳細胞の破壊と血管の老化であり、「頭を使って学習し、血液の循環をよくするために体を動かすこと」と防止策をアドバイス。「新しい環境に適応できる柔軟性が仙人への道」と話されました。作家の平岩弓枝さんは「生きるということ」をテーマに、恩師・長谷川伸先生との関わりから「豊かな人生の源として思い出を大切に」と説かれ、聴衆に深い感銘を残しました。
講師 斎藤茂太氏
(日本精神病院協会名誉会長・
日本旅行作家協会会長)
講師 平岩弓枝氏
(作家・日本文芸家協会理事)
■第1回講座 平成3年7月18日 遊学館
この日の講師は県出身の落語家・桂南治師匠。十八番の「権助魚」を披露し、参加者一同大爆笑。さらに面白い言葉遊びを紹介し、「なぞ解き」を会話にはさんで若さを保とうと説き、「笑う門には福きたる」がオチ。
山形放送で長年アナウンサーとして活躍してきた大村和夫さんは、シニアライフを楽しむには「相手の心を察したほめ言葉が必要」と話す。
実践講座は「リラックス仙人術」。会話の潤滑剤「お酒」の雑学とおいしい飲み方を山形グランドホテルの佐々木支配人と大浦チーフバーテンダーが実演紹介。
■第2回講座 平成3年8月20日 山形グランドホテル
二科会会員飛塚英寿さんは、写真撮影の楽しみ方を80枚のスライド写真を用いて解説し、「感動を人に伝える面白さ」を仲間の活躍を通じて話されました。
ミュージック・エンターティナーの石川純子さんは、童謡からアメリカ民謡まで多様な歌をピアノの弾き語りで披露し、さらに参加者全員で大合唱。また「カラオケのヒケツ」を伝授、全員納得。
実践講座では、ミノルタカメラ販売(株)の福井一成さんが、最新鋭カメラの機能をやさしく説明し、「シニアにも容易に完成度の高い写真撮影ができる」と力説。
二科会写真部山形支部長・飛塚英寿さん
真円内:ピアノの弾き語りを披露する石川純子さん
写真上:カメラの使い方を学ぶ実践講座
■第3回講座 平成3年9月17日 遊学館
高齢化社会を迎えるとき、ゆとりある仙人になるためには「生涯生活設計の必要」と説いたのが、望月衛東海大学教授。「お金、時間、身体の使い方を再点検し、人を頼らず自助努力をしていくこと、自己啓発をしていくこと、世の中に奉仕していくことを忘れてはならない。」と結びました。
南太平洋の楽園、西サモアのサラー・バイミリ厚生大臣は、西サモアの自然と歴史、酋長制度、国民の暮らしぶりを披露、お年寄りに最大の敬意を払う国民性について話しました。
実践講座で「ゆとり」ある金銭感覚を説く日本生命の橋口公三さん
講演後、山形市在住のアロエシアさんと一緒にギターを弾きながらサモアの恋の歌を披露するサラー大臣
ゆとりある仙人像を説く
望月衛東海大学教授
■第4回講座 平成3年10月15日 遊学館
講師は、テレビ番組「遠くへ行きたい」や「くいしん坊!万歳」などで活躍され、旅の多い生活を送っていらっしゃる俳優の渡辺文雄さん。これまでの体験をもとに「旅に出たらいつもより少し勇気を出して、一歩踏み込んでいけばさらに何倍も楽しくなる」と、旅の奥行きの深さと魅力を話されました。
(写真:旅の面白さを説く俳優の渡辺文雄さん)
JR東日本の高野山形駅主席助役は、気になる山形新幹線の近況、今人気の高速列車と旅行好きのシニア向けお勧め品「ジパング倶楽部」の割引き企画などを紹介。何か目的をもった自発的旅行をと結びました。
(写真:JR 自慢のミニ新幹線を話す高野山形駅主席助役)
■第5回講座 平成3年11月12日 遊学館
芥川賞作家畑山博さんは「わたくし流-仙人術入門」と題して講演。宮沢賢治の創作活動を交ぜながら、常識のよろいを取り外し、少し「ずれ」たものの見方、柔軟な発想で仙人に近づこうと力説。仙人といわれる不老長寿=不良長寿が出発点と指摘しました。
実践講座では、ワープロを使ったクラス会の案内状作りに挑戦。富士通オフィス機器(株)の斎藤恵子さんの指導のもと、画面とにらめっこしながら全員が完成、出来ばえに満足の様子でした。
(写真:不良老人を勧める作家の畑山博さん)
実践講座でワープロをやさしく解説する富士通の斎藤恵子さん
「ここをこう押して!」と画面とにらめっこ
■第6回講座 平成3年12月12日 遊学館
体の8割もの筋肉を使う「歩く健康法」の効用を説いたのが中京大の藤原健固教授。歩くことの医学的効果を、例をあげて説明されました。
酒田短期大学副学長の芦野茂喜教授は、おっくうになりがちな運動を楽しみながら実行できる「こたつ体操」を披露し、「じっくり無理をしないで、続けていくことが大切」と全員の手足をとって指導しました。
実践講座では、県料理学校協会会長の古田久子さんの「酢を使ったヘルシークッキング」。健康食「サワー漬け」などの作り方を学び、全員で試食しました。
■第7回講座・修了式 平成4年2月20日 山形グランドホテル
7つの顔を備えた仙人誕生!
今年度、当財団の老人大学校のテーマは、東洋人が生き方の理想像とした「仙人」。シニアの暮らし方の夢とロマンを求めて、「仙人講座」を開講してきました。公開総合講座で始まり、7つの顔(交遊・一芸・自足・好奇・発想・健康・洒落)を備えた仙人のテーマに沿った講座が修了し、はれて仙人の仲間が誕生しました。
第7回講座
2月20日、山形グランドホテルでの第7回仙人講座が開かれました。
藤原ていさんは、故新田次郎との夫婦作家。大陸での放浪生活を送った体験を通じて、「生きる」ことの大切さを熱っぽく話されました。
実践講座ではファッションコーディネーターの西山栄子さんが講演、「おとなのおしゃれを楽しむ術」を披露。60歳からは10歳若い服装をと強調しました。
「生きる」大切さを説く作家藤原ていさん
若々しいおしゃれをと画像を使って説明する西山栄子さん
講座のあと、修了式が開かれました。来賓の県生活福祉部大森次長から「これからは仙人の気持ちで」との祝辞を頂いた後、井上武副学長(当財団常務理事)から受講者代表の伊藤もとさん(82歳・山形市)へ、仙人ライセンス証書が授与されました。7回の講座すべてに出席した115名の方がはれて仙人の仲間入りということです。
続いて、芦野酒田短大副学長の乾杯の音頭で和やかにパーティーが開かれました。
顔なじみとなった面々、酒杯を酌み交わしながら「カメラに凝っちゃったよ」とか、「ワープロを買っていじっているよ」、「一人旅も面白いですね」など、講座がとりもつ縁で、新たな挑戦をはじめた方たちの話題を肴に、楽しいひとときを過ごしました。全員の合唱で散会。
8ヶ月にわたった仙人講座、先ずはご満足頂けたものと思います。