仙人講座/第2期 (平成4年度)
2年目の仙人講座
仙人めざしてスピードアップ!
当財団が昨年度に開校した「仙人講座」。多彩な講師陣から、健康で生きがいに満ちたシニアライフの演出法を学んだ受講生方の「ぜひ継続」との要望に応じ、仙人になるための7つの顔を想定した講座を設け、公開総合講座を皮切りにスタートしました。
■仙人公開講座
◆平成4年6月24日(木) 遊学館
◆講座:評論家 犬養智子氏 「いまがステキ人生-ピンクシャンパンの飲めるシニアに」
◆講座:15世名人 大山康晴氏「背水の陣で生きる」
6月24日、山形市の遊学館で県内各地から300人を集め、仙人講座の開校式と公開総合講座が開かれました。
当財団の井上武常務理事から「仙人講座」についての説明のあと、評論家の犬養智子さんが、「いまがステキ人生-ピンクシャンパンの飲めるシニアに」と題して講演、「年をとるのが怖いと考える人は、世間の基準に囚われている人で、考え方を変えるべき」と諭し、賢い年のとり方をして、夫婦とか異性のお友達などとさわやかに飲んで、きょうも元気、あすも「ときめき」という感じで暮らしたい」と結んだ。素敵に年を重ねる工夫として生涯勉強が必要で、いくら年をとっても楽しい「いま」できるよう、一寸した遊びに使う「ときめき貯金」を勧めました。
将棋の15世名人、大山康晴さんは、「背水の陣で生きる」のテーマで「勝負に王道なし、勝っても負けても反省あり。反省のあとは明日に気持ちを切り替えること」を強調。「父から勝負より一生懸命に指すことと教わり、これによって心に余裕が生まれた」と話されました。さらに、楽しい人生を送るために趣味を幅広くもつこと。上手になるには練習のときほど「いい道具・本物の道具」を使うことと教示されました。
大山名人は病中を押してのこの講演を最後に、1ヶ月後に他界されました。ご冥福をお祈りいたします。
講演中の犬養智子さん
故大山康晴名人
■第1回講座「交遊仙人」 平成4年7月23日(木) 遊学館
基調講演
県内各地の約4倍の応募者から選ばれた100人の「仙人候補生」を集め「仙人講座」がスタートしました。
山大の阿部宏慈助教授が、国際的な交遊仙人になるためのノウハウを「異人・ガイジン・外国人」と題して解説、「外国人だからとしり込みせずに声を掛け、広い視野に立って受け入れてあげられるような柔軟な姿勢をもちたい」と力説、国際感覚をもった「国際仙人」をめざそうと呼びかけました。
(写真:山形大学助教授 阿部宏慈さん)
随筆家の江國滋さんは多彩な趣味を例に引いて「遊びの極意」をアドバイス。その中で「旅行のときお勧めしたいのが旅のスケッチ。絵の苦手な方には俳句を。親しい仲間と刺激しあい、人生を深く楽しみ味わう知的な「遊び」が必要」と話し、受講生に共感を与えてくれました。
(写真:随筆家 江國滋さん)
実践講座
実践講座では、スポーツクラブ・オレンジ・ワン山交のチーフインストラクター加藤美佐江さんが若さを保つリラックス体操術を披露。会場の皆さんと「イチ・ニッ・サン」。
■第2回講座「自足仙人」 平成4年8月20日(木) 遊学館
基調講演
講師の竹田津実さんは北海道在住の獣医師でエッセイスト、写真家としても知られ、テレビ番組の「オジロワシ」や映画「キタキツネ物語」の動物監督も努めた方。
動物社会の子育てを引き合いにして「親にとって困った子供が実社会を引っ張っている例が多く、皆さんが持っている世界、豊かさを孫やひ孫に伝えてほしい。それが自立を助けてくれることになる」と呼びかけました。
(写真:獣医師・エッセイスト竹田津実さん)
実践講座
実践講座では、安田信託銀行財務アドバイザー部長の川上健二さんが「悠々自適の仙人術」のテーマで新しいライフワークに沿った財務計画を実例をあげてアドバイス。
悠々自適にもお金のありがたさを感じさせられました。
(写真:悠々自適の生活に必要な預金計画を話す川上健二さん)
■第3回講座「一芸仙人」
平成4年9月17日(木) 山形グランドホテル
基調講演
環境造形のパイオニア會田雄亮東北芸術工科大学教授(陶芸家)が、やきもの本来の持つ魅力について「陶芸に生きる-陶芸といってもいささか巾がひろいんです」と題して講演。
「日本では陶器を1つ置くだけで床の間がギャラリーに変わる。陶器には幅広い世界がある」と解説。「自分の手を使って「芸」を極めればベストだが、手始めに身近な生活のなかに芸術をとりいれましょう」と呼びかけました。
(写真:やきものの魅力を説く會田雄亮さん)
実践講座
リラックス仙人体操の後、獨協医科大学の本間道名誉教授が、「高齢者の健康と腸」と題して、ビフィズス菌の効用についてくわしく解説。お話の後、ビフィズス菌を加えた牛乳を実際に試飲してみました。
今回は、第1期生も参加しての合同勉強会。久しぶりのなつかしい顔ぶれの再会とあって、話しも弾みました。
(写真:獨協医科大学名誉教授の本間道さん)
ミニコンサート
■第4回講座「好奇仙人」 平成4年10月15日(木) 遊学館
基調講演
テレビでもおなじみの嵐山光三郎先生(作家)が、「好奇心の育て方」と題して基調講演。俳句を例にとりながら、「古池や 蛙とびこむ水の音」の蛙はいったい何匹?
こうした疑問を一つずつ解き明かしながら、好奇心を大切にしていきましょうと呼びかけました。
(写真:作家の嵐山光三郎さん)
続いてスポーツクラブ・オレンジワン山交のチーフインストラクター加藤美佐江さんの指導により、毎回実施している仙人体操で心身ともにリフレッシュ。
実践講座
実践講座では、山新観光の原田昇常務が、「上手な旅の仕方教えます」と題して、「旅は日常生活からの解放。俳句で感動を残すなど、別の視点で自分を見つめ、自己を高めることが最大の目的」と、旅を心ゆくまで楽しむヒケツを伝授してくださいました。
(写真:山新観光常務の原田昇さん)
■第5回講座「発想仙人」 平成4年11月24日(木) 遊学館
基調講演
「小説上杉鷹山」でお馴じみの作家、童門冬二先生が、「これからの人生を企画しよう」と題して基調講演。歴史上の人物やできごとを例にとりながら、現代に生きる私たちは何を見据え、これからの人生をどう企画していったらいいのかについて助言。「これからの人生を人のため、社会のために役立てて、自分の可能性を見出していこう」との呼びかけは、受講生に共感を与えてくれました。
(写真:作家の童門冬二さん)
実践講座
実践講座では、ワープロを使って「クラス会のお知らせ」の作成にチャレンジ。キーボードとにらめっこしながらも、いつのまにか全員がプリントして出来上がり。感動を覚えた初体験となりました。
(写真:やった! 意外に簡単、ワープロ実践講座)
■第6回講座「健康仙人」 平成4年12月10日(木) 遊学館
基調講演
良くない食習慣は少しずつ気長に変えるように心がけ、あくまでもおいしく食べて健康を保ちましょう、と呼びかけたのはフード・ドクターの東畑朝子さん。「21世紀にむかって-健康をつくる食事」と題してバランスの良い食事についてわかりやすくアドバイスしていただきました。
(写真:フード・ドクターの東畑朝子さん)
実践講座
実践講座では、県料理学校協会会長の古田久子さんが、「酢を使ったヘルシー・クッキング」を伝授。
料理をおいしくし、健康に役立つばかりか、困ったときに意外な効力を発揮する「酢」の効用についてお話しいただきました。講演後には、「サワー漬け」や「エノキダケサラダ」を試食。さっぱりしたヘルシーな味を満喫しました。
(写真:料理指導の古田久子さん)
■第7回講座「健康仙人」&修了式
平成5年1月20日(木) 山形グランドホテル
7つの顔を備えた… 仙人2期生が誕生!
7つの顔(交遊・自足・一芸・好奇・発想・健康・洒落)を備えた「仙人」の生き方を学ぼう、と開校した「仙人講座」は。7つの講座がすべて終了。114名の受講生が、はれて仙人の仲間入りを果たしました。
修了式
この講座は、健康で生きがいに満ちたシニアライフをめざそうと、本財団が昨年に引き続き実施したものです。1月20日、山形グランドホテルでの第7回仙人講座のあと、修了式が開かれました。
井上武副学長(本財団常務理事)から、受講生を代表して最高齢の遠藤常三さんと、村山つるさん(ともに81歳、山形市)へ仙人ライセンス証書が授与され、来賓の県生活福祉部の佐野理事より「これからは仙人の気持ちで」との祝辞を頂きました。
続いて、歌丸県生涯学習人材育成機構事務局長の乾杯の音頭で、和やかに交流パーティーが開かれました。
落語家の古今亭圓菊師匠も飛び入りで参加。会場は爆笑と熱気であふれ、すっかりうちとけた面々が酒を酌み交わし、7回の講座を振り返りながら、楽しいひとときを過ごしました。最後に全員で『二人は若い』や『ふるさと』を合唱。好奇心旺盛で輝く人生を謳歌しようと誓い合いました。
7ヶ月にわたって実施された「仙人講座」は、受講生のみなさんの胸に、生きがいとロマンをしっかり刻み込んで終了しました。
第7回講座
総集編にふさわしく「仙人への道-笑いと陽気」と題して、武蔵丘短期大学の鎌田東二助教授が基調講演。
中国の故事来歴を引用しながら、仙人のイメージを分析。「シャレとユーモアに満ちた「笑い」のセンスを、生活の中に実現していくのが仙人への近道」と指摘しました。
(写真:武蔵丘短期大学の鎌田東二さん)
おなじみの仙人体操の後、落語家の古今亭圓菊師匠が、軽妙な語り口で「江戸に学ぶ、粋で明るい死生観」と題して講演。
江戸の粋な小話を、手話を交えながら披露。「1:悪いことは考えず、良いことだけを。2:面倒臭がらずに。3:色気を忘れず。4:声を出し、しゃべること」が長生きの秘訣ではないかと締めくくりました。
会場は爆笑の渦となり、ひときわ大きな拍手に包まれ、最終回ならではの盛り上がりを見せて終了しました。