仙人講座/第3期 (平成5年度)
3年目を迎え…
ますます充実「仙人講座」
健康で生きがいに満ちたシニアライフをめざそうと、本財団が3年前に開校した「仙人講座」。仙人になるための7つの顔(自足・洒落・好奇・一芸・発想・健康・交遊)を想定した講座は、今年もビッグな講師陣を迎え、公開講座を皮切りとして好評裏にスタートしました。
■仙人公開講座
◆平成5年6月19日(木) 遊学館ホール
◆講座:作家 高森和子氏「母の言いぶん」
◆講座:作家 早乙女貢氏「乱世に生きる」
『講座から帰った後は、生き生きとなる自分がわかりました。不思議なことに、体の調子も良くなり、気持ちも明るくなってきました』。『できることなら留年して、もう一度講座を受けたい』。昨年、「仙人ライセンス」を手にした第2期生の言葉です。
今年も山形市の遊学館で県内各地から300人を集め、仙人講座の開校式と公開総合講座が開かれました。
本財団の井上武常務理事が「仙人講座」について説明し、開校を宣言。続いて元女優で作家の高森和子さんが「母の言いぶん」、会津藩士の子孫で作家の早乙女貢さんが「乱世に生きる」と題して講演しました。
高森さんは、子供のころから母親が亡くなるまでの親子のエピソードや、老人性痴呆症となった母親の介護を通して見つめ直した自分の姿をユーモアを交えながら語り、『親は世界に一つしかない宝物』と結びました。
日本ペンクラブ専務理事で直木賞作家の早乙女さんは、明治維新に伴う会津藩の悲劇や薩長閥とのかっとうにふれ、『人間の業や欲がある限り乱世は続く。このような時代には信念と理想を持つことが大事』と呼びかけました。
■第1回講座「自足仙人」 平成5年7月22日(木) 遊学館
基調講演
故林家三平師匠の未亡人でエッセイストの海老名香葉子さんが「精いっぱい生きなきゃ」と題して講演。
故三平師匠や落語一家のエピソードを紹介しながら、『私は姑と嫁に恵まれた。苦しいときに一緒に苦しんでくれた姑に感謝し、後を託す嫁を大切にしている。思い、思われるのが家族。正々堂々と子供の世話になっていく』と語りかけました。
(写真:海老名香葉子さん)
実践講座
仙人体操ですっかりお馴染み、スポーツクラブ・オレンジワン・ヤマコーの加藤美佐江さんが、若さを保つリラックス体操術を披露した後、安田信託銀行財務部長の川上健二さんが、「悠々自適の仙人術」と題して講演。職を離れた後のシニアステージを生きる心構えとして『今を生きる、自立的に生きる、わがまま(我のまま)に生きる』ことを強調しながら『長命でいいということはない。長寿であることが大切』と結びました。
(写真:川上健二さん)
■第2回講座「洒落仙人」 平成5年8月25日(水) 遊学館
基調講演
服飾評論家で随筆家の出石尚三さんが、「おしゃれは生きがい」と題して基調講演。ショッキング・ピンクという色鮮やかなスーツでさっそうと登場。明るいドレスを着た女性はめったに不機嫌にならない、というデザイナー、シャネルの言葉を引用しながら『人間は快適な刺激を受けていると老いにくい。衣は刺激を受けるための「包装紙」』『衣は生活。衣が明るくなれば生活も明るくなる』『上手なおしゃれは自分のスタイルやテーマ、好きな色を決めて、自信を持って着ること』など多方面にわたって解説いただきました。
(写真:出石尚三さん)
実践講座
続く実践講座では、日本債券信用銀行仙台支店の久米元雄債券預金課長が、「賢いマネープラン」と題して最近の金融情勢や金融商品を紹介。ゆとりある生活設計のための運用法についてアドバイスを受けました。
(写真:久米元雄さん)
■第3回講座「好奇仙人」平成5年9月21日(水) 遊学館ホール
基調講演
漫画家の富永一郎さんが「日々新たなり」と題し、漫画家として成功するまでの生き方や、糖尿病との闘いをユーモラスに講演。『10年ほど前から発想を変え「人生みな恩人」と考えるようになった。物事は常に前向き、いい方向にとらえるようになり、そのお陰で毎日が新鮮。今は第2の青春』と語りかけた後、人気漫画を数枚描いてプレゼントしました。
(写真:人気漫画家の富永一郎さん)
実践講座
お馴染みの仙人体操に続き、寒河江市出身の作家、中村晃さんが「決断のとき-最上義光と直江山城守」と題して講演。戦国武将の生き方を分析しながら、『決断は将来の選択であり、結果は能力のほか天運にも左右される』と結びました。
(写真:作家の中村晃さん)
ミニコンサート
さらにミニコンサートでは、天童市出身で東京で活躍している歌手の沢祥子さんがポピュラーのヒットナンバーを次々と披露。仙人講座OB(仙遊会)も参加し、盛んな声援が送られました。
(写真:熱唱する沢祥子さん)
■第4回講座「一芸仙人」 平成5年10月19日(火) 山形美術館
基調講演
会場を紅葉が美しく映える山形美術館に移し、評論家で作家の室伏哲郎さんが「ひとり遊び術と感動術」と題して講演。『日常でも「遊び」の占める割合がますます高くなってくる。感動と遊び心を持つことが大切で、無を有にする不思議な力を持っている』と述べて、心の大切さを強調されました。
(写真:室伏哲郎さん)
実践講座
リラックス仙人体操の後、独協医科大学の名誉教授の本間道さんが「腸内のドラマ-ビフィズス菌は正義の味方」と題し、スライドを使いながらビフィズス菌の持つさまざまな効用についてわかりやすく解説されました。
(写真:本間道さん)
この日は第78回院展山形展の初日と重なり、同美術館の岡部学芸員からひととおり説明を受けた後、現代日本画壇を代表する力作を鑑賞し、芸術の秋を心ゆくまで堪能しました。
■第5回講座「発想仙人」 平成5年11月24日(水) 遊学館
基調講演
古代から現代までの食文化を研究している食文化史研究家の永山久夫さんが「仙人になるための「百歳食」の知恵」と題して講演。米や魚、大豆、緑黄色野菜、お茶などに含まれる成分を分析して、『食べ物を元金として、生命力の残高をどんどん増やす健康貯蓄の時代。「米魚大参茶」仙人食、百歳食の元金』と日本人本来の食生活を推奨されました。
(写真:永山久夫さん)
実践講座
続いて山形県生涯学習人材育成機構専務理事の打田早苗さんは、「掌中に月を掬(きく)す」という言葉を元に「生き方」の発想法を披露。『マイナスにとらえがちな発想も、視点を変えてみれば積極的になれる。発想を広げることは、自分自身の生き方を広げることにつながる』として『味わいの時代とクオリティ・オブ・ライフがキーワード。より質の高い生涯が求められている』と発想の転換を強調されました。
(写真:打田早苗さん)
■第6回講座「健康仙人」 平成5年12月15日(水) 遊学館
日本相撲協会診療所の林盈六内科医長が「健康と長寿。-力士診療30年を顧みて思うこと」と題して基調講演された後、実践講座では山形県料理学校協会の古田久子会長が「酢を使ったヘルシークッキング」を指導されました。
基調講演
林さんは大相撲の力士生活や健康データなどを紹介しながら『幕内上位に進む力士は診療所にめったに顔をみせない。少々の痛みや病気は気持ちで乗り越えている。一般の人も同じで気の持ち方が大切。気持ちが前向きのときは免疫力が高いことが、血液検査などでも明らかになっている』と強調されました。講演の後いくつかの質問が出され、健康に対する関心の高さがうかがえました。
(写真:林盈六さん)
実践講座
古田さんは、サワー漬けプレーンや、オリジナル料理のナムルなど、酢を使った料理法を指導。最後に全員で試食をしてみました。
なかなかおいしと好評だった試食会
古田久子さん
■第7回講座「交遊仙人」&修了式
平成5年1月26日(木) 山形グランドホテル
7つの顔を備えた… 仙人3期生が巣立つ!
7つの顔(自足・洒落・好奇・一芸・発想・健康・交遊)を備えた「仙人」の生き方を学ぼう、と開校した「仙人講座」は、7つの講座がすべて終了。119名の受講生が、晴れて仙人の仲間入りを果たしました。
修了式
この講座は、健康で生きがいに満ちたシニアライフを目指そうと本財団が実施し、今回が3年目。
1月26日、山形グランドホテルでの第7回講座のあと、修了式が行われました。
井上武副学長(本財団常務理事)から、受講生代表安孫子一治さん(80歳)と、山本カネエさん(78歳)へ仙人ライセンス証書が授与され、県生活福祉部の井上孝三次長から「これからのご活躍を祈ります」と、祝辞を頂きました。続いて、第5回の講師で県生涯学習人材育成機構専務理事の打田早苗さんの音頭で乾杯し、和やかに交流パーティーが開かれました。
修了式に先立つ講座では、落語家の古今亭圓菊師匠が「ますます輝け人生」と題して講演。真打ちになるまでの苦労話を交えながら『粋(いき)と笑いは輝きの一つ。シニアとはいってもまだ長い人生。苦労を恨まず、気持ちを切り替えて苦労を糧にしてほしい』と呼びかけました。
7ヶ月にわたって実施された「仙人講座」は、受講生の皆さんの胸に、無限の可能性を追い求めるロマンをしっかり刻みこんで終了しました。
(写真:圓菊節で会場を沸かせた古今亭圓菊師匠)